自己破産は「特別な人」の話ではない
──日弁連データが示す現実と、年1回の家計診断の必要性
「自己破産」と聞くと、
浪費やギャンブルを繰り返した結果、身を持ち崩した人の話──
そんなイメージを持つ方は少なくないかもしれません。
しかし、最新のデータが示している現実は、私たちの想像とはかなり異なります。
先日、Yahoo!ニュースでも以下の記事が紹介されました。

この記事は、日本弁護士連合会(日弁連)が公表した全国規模の公式調査データ(2023年)をもとに、「自己破産に至る人の実像」を整理したものです。
自己破産の最大の理由は「生活苦・低所得」
調査によると、自己破産に至った理由の 約3分の2(65.86%) を占めていたのは、
生活苦・低所得
でした。
続いて多いのが、
- 病気・医療費
- 生活用品の購入
- 失業・転職
といった、日常生活を維持するために避けにくい支出や出来事です。
浪費やギャンブルも一定数ありますが、
それが主因となっているケースはむしろ少数派。
「誰にでも起こり得る生活上の事情」が、
積み重なった結果として自己破産に至っている──
それが、日弁連データから見える実像です。
詳しいデータ分析については、こちらの記事でも丁寧に解説されています。

自己破産は特定の世代の問題ではない
年齢別データを見ると、最も割合が高いのは 50代。
しかも前回調査から大きく増加しています。
一方で、
- 20代
- 70代以上
といった層も緩やかに増えており、
自己破産は「一部の世代だけの問題」ではありません。
失業、病気、家計負担の増加──
人生のどこかで起こり得るライフイベントが重なれば、
誰でも家計が破綻するリスクを抱えていることが分かります。
問題は「気づいたときには手遅れ」になりやすいこと
これらのデータを見て、私が強く感じるのは次の点です。
家計の異変は、
本人が気づかないうちに進行していることが多い
収入が減っても、
物価が上がっても、
医療費や教育費が増えても、
日々の生活は「なんとか回っている」ように見えてしまう。
しかし実際には、
少しずつ、確実に余力が削られ、
ある時点で一気に立て直しが難しくなる──。
自己破産は、突然起きる出来事ではありません。
長期間の「見えない家計悪化」の結果なのです。
だからこそ「年1回の家計診断」が必要になる
医療の世界では、
症状が出てから治療するのではなく、
- 年1回の健康診断
- 定期的なチェック
によって、
病気を「早期発見」する仕組みが当たり前になっています。
家計も、まったく同じです。
- 今の収入と支出のバランスはどうか
- 将来の固定費・変動費に無理はないか
- 想定外の出来事が起きたとき、耐えられる余力はあるか
これを 年に1回、客観的に確認するだけでも
自己破産に至るリスクは大きく下げられます。
産業FPが目指すもの
産業FPが目指しているのは、
- 借金問題が起きてから対応すること
- 破産や債務整理を前提とした支援
ではありません。
そのずっと手前、
「生活が破綻する前」に、家計の異変に気づくこと
そのための仕組みとして、
年1回の家計の健康診断を社会に根付かせたいと考えています。
自己破産データが教えてくれること
日弁連の全国調査データが教えてくれるのは、
自己破産が「特別な人の失敗談」ではなく、
誰にでも起こり得る、生活の延長線上の出来事
だという現実です。
だからこそ、
- 家計を「感覚」ではなく
- データと構造で捉え
- 定期的にチェックする
そんな文化が必要なのではないでしょうか。
年1回の家計診断は、
未来の破綻を防ぐための、
もっともシンプルで、現実的な第一歩だと私は考えています。

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